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ちょこたび埼玉

歴史と味豊かな「サツマイモ」でほっこり 三芳町(みよしまち)で環境に優しい食の旅

歴史と味豊かな「サツマイモ」でほっこり 三芳町(みよしまち)で環境に優しい食の旅sp

歴史と味豊かな「サツマイモ」でほっこり
三芳町(みよしまち)で環境に優しい食の旅

都市近郊にありながら、農業が盛んな「三芳町」。
なかでも三芳町上富(かみとめ)地区は、今から300年以上前の江戸時代に新田開発された土地です。
サツマイモの栽培が盛んで、知る人ぞ知る狭山茶の名産地であります。
今回はそんな三芳町の「味力(みりょく)」を体験できる食の旅をレポートします。

直売所が短冊状に並ぶ「いも街道」

直売所が短冊状に並ぶ「いも街道」

 11月の三芳町を訪れました。まず最初に足を運びたいのが、三芳町の「いも街道」。関越自動車道所沢インターから約10分、三芳スマートインター(上り)から約5分のけやき並木通りには、約1kmに渡って三芳町の特産品「富(とめ)の川越いも」の生産を担う農家が軒を連ねます。29軒の農家がずらりと並び、黄金色に色づいた紅葉も美しく、「富の川越いも」と描かれたのぼり旗がはためく様子に心はうきうき。それぞれの農家の軒先ではサツマイモをはじめ、地元産の野菜などを直売しているので、気軽に立ち寄って農家の方々とお話ししながら買い物ができます。また、お芋農家が営む「OIMO cafe」や手打ちそば・うどん屋など飲食を楽しめるお店、ギャラリーなどもあります。江戸時代末期に建てられた茅葺民家の旧島田家住宅の見学もおすすめです。この地域の開拓がさつまいもの導入によって豊かになったことを示す大型家屋は、入場無料で見学することができます。

320年前の地割りが残る「三富新田」

320年前の地割りが残る「三富新田」

「いも街道」にある農家は、約320年前に新田開発が行われ誕生した「三富新田(さんとめしんでん)」のうちの「上富地区」にあたります。三芳町や所沢市、川越市、ふじみ野市周辺に広がる武蔵野台地の土地は、水に乏しく、冬になると風が強く、耕地には適していなかったところ、後に江戸幕府の重役となる若き川越藩主・柳沢吉保が「農民にお腹いっぱい美味しいものを食べさせてあげたい」と夢見て作りはじめた畑です。そこには、当時の屋敷地・耕地・平地林の短冊状の地割りが今も残っています。地割りを活かした約440mの畝を使って「世界一のいも堀りまつり」が今も行われています。

日本農業遺産にもなった「落ち葉堆肥農法」

日本農業遺産にもなった「落ち葉堆肥農法」

この土地の農業や歴史について更に知ろうと、三芳町川越いも振興会副会長の島田さんにお話を伺ってきました。
「三芳町は元々さつまいもの栽培が盛んだったわけではありません。この辺りは、元々原野で何もなかった。今でも「大野原」という地名があるほどで、茅とか雑木が生えていただけ。甘藷(かんしょ・今のさつまいも)は江戸幕府8代将軍、徳川吉宗が飢饉への備として青木昆陽に栽培を命じて広がったと言われますが、この辺りには寛延4年(1751年)に吉田弥右衛門が千葉の房総(木更津あたり)から取り寄せたことがはじまり。今ある竹、杉、欅も全て植えたものです」とのこと。その落ち葉を集めて堆肥を作り、畑に撒くという土づくりを300年以上続けています。それが「武蔵野の落ち葉堆肥農法」です。

武蔵野の落ち葉堆肥農法

三芳町では平地林のことを「ヤマ」と呼んでいますが、このヤマの落ち葉を堆肥にして畑にすき込む農法を300年以上続けています。それぞれの農家の畑の先に平地林があり、1〜3年置いて発酵させます。「この農法が日本農業遺産に認定されました。落ち葉掃きは毎年1〜2月ごろに行います。一般の人にも体験してもらうイベントとして行っていて、リピーターとして毎年参加してくれる方もいます。」と島田さん。化学肥料に頼らず、300年以上続く農法を今も続けています。持続可能な開発目標(SDGs :Sustainable Development Goals)が世界的な課題となっている昨今、「味力」たっぷりのサツマイモを生み出す三芳町の落ち葉堆肥農法はまさにこれからの時代にぴったりな農法と言えるかもしれません。

武蔵野の落ち葉堆肥農法
http://giahs-musashino.jp


三芳町川越いも振興会
http://kawagoeimo.jp/farmers/

くりより(九里・四里)うまい十三里、富(とめ)の川越いも

くりより(九里・四里)うまい十三里、富(とめ)の川越いも

江戸時代、焼き芋ブームのあった江戸では、川越藩領から届く甘藷は美味しいと評判だったそうです。江戸から川越が13里(約50km)離れていること、また「栗より美味い」ため、「九里・四里=十三里」というシャレにしたのがこの言葉です。現在でも、落ち葉堆肥農法によって作られるさつまいものとても味わい深いおいしさは、「富(とめ)の川越いも」として江戸時代より名品として有名です。主な品種は焼き芋に最適な甘い「シルクスイート」、しっとり甘く最近人気急上昇な「べにはるか」、焼き芋から天ぷら、大学芋、煮物など何にでもあう「紅東(べにあずま)」などがあり、中でも存在感を放つのが「紅赤」です。「紅赤」はさつまいもの女王と呼ばれ、生産量も少ない幻のさつまいもと言われています。

くりより(九里・四里)うまい十三里、富(とめ)の川越いも2

今から120年ほど前の1898年頃、浦和の山田いちという人がさつまいもの新品種「紅赤」を発見したとか。上品な甘味があり、栗に勝るとも劣らない風味、他の芋にはない旨味があります。それら「富(とめ)の川越いも」をPRしていこうと、上富のさつまいも農家によって三芳町川越いも振興会が結成。平成27年(2015年)第54回農林水産祭むらづくり部門では、天皇杯を受賞することとなりました。

狭山茶の隠れた名産地、加工品もユニークかつ美味しい

狭山茶の隠れた名産地、加工品もユニークかつ美味しい

三芳町はサツマイモだけでなく、実は狭山茶の生産地としても有名です。味良し(みよし)のお茶は、サツマイモ同様、土作りからこだわっている農家さんも多く、三芳町で生産された狭山茶は、品評会でも上位に入賞し、農林水産大臣賞を受賞するなど、その品質の高さは折り紙付き。昭和45年4月には「三芳町茶業研究会」が発足。そこに属する町内の四軒茶屋では、自園で栽培、製造加工をし、自分の店舗で販売する「自園・自製・自販」の形を守っており、味に定評があります。煎茶、粉茶、パウダー煎茶、ティーバッグ茶など、それぞれの農家によって販売するお茶も違うため、色々試してみるのがおすすめです。また「狭山茶焼酎」をはじめとした加工品も豊富で、お土産や贈り物にも最適です。

根菜だけではない、みよし野菜

根菜だけではない、みよし野菜

落ち葉堆肥農法によって作られた土は、さつまいもだけではなく、様々な野菜も作られています。町内のスーパー、農協、直売所などで販売されています。じゃがいも、里芋、さつまいもなどの根菜のほか、小松菜、青梗菜、ほうれん草など、「三芳やさい」のロゴマークが目印。「いも街道」で直販している農家もあるのでぜひお立ち寄りを。

三芳町の旅、いかがでしたか?
三芳町の味は、地に足がついた農家さんによって支えられていることがわかります。
環境にも優しく、これからの持続可能な社会にぴったりな「味良し(みよし)」の「味力(みりょく)」、
ぜひ味わってみてください。