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ちょこたび埼玉

森を通じて自然と一体に 西川材の魅力を再発見「飯能市」

森を通じて自然と一体に 西川材の魅力を再発見「飯能市」

森を通じて自然と一体に
西川材の魅力を再発見「飯能市」

埼玉県南西部の飯能市は、江戸時代に良質な木材「西川材」の産地として栄えました。
今回は、木や森と共生する飯能の人たちの暮らし、森を通じて自然と一体となる飯能の魅力に迫ります。

「西川材」のふるさと飯能

「西川材」のふるさと飯能

 飯能市は東京都心から40〜60km圏内という近さながら、市域の約4分の3が森林に覆われ、奥武蔵の豊かな自然に恵まれた地域で、歴史や文化、人々の暮らしは森林と共に育まれてきました。

 林業の歴史は長く、江戸時代には森林から切り出した木を筏(いかだ)にして、入間川を通じて江戸の町に木材を届けていました。当時の江戸の町は、人口増加に伴うまちづくりや、度々の火災による復興のため、常に多くの木材を必要としていたのです。

 江戸の人々は、「西の川から送られてくる良質の木材」として、現在の埼玉県の南西部を流れる高麗川(こまがわ)・名栗川(※)・越辺川(おっぺがわ)流域(今の飯能市・越生町・毛呂山町・日高市の4市町)から生産される木材を「西川材」と呼ぶようになったと言われています。この地域は西川林業地と呼ばれ、飯能市はその中心です。
(※)入間川の上流部の流域のこと。

「西川材」2

 なぜ飯能では、良質な木材が育まれるのでしょうか。それはこの地域の気候、土壌がスギやヒノキの生育に適しているからです。秩父山地と関東平野との中間でそれほど高くない標高の森林地帯が広がっていること。また耕作地として痩せている一方で、気象条件や土壌がスギ・ヒノキの生育に適していて、枝打ちや間伐を丁寧に行い丹精こめて育てているため木材の色艶がよく年輪が緻密で節の少ない良質な木材が産出されるのです。そして、100年、200年かけて大きな木に育て上げる独特の育林方法も、代々この地に受け継がれています。

飯能人は森の中で自由に過ごす

飯能人は森の中で自由に過ごす

 飯能市内を見回してみると、公園などに「森林文化都市宣言」と書かれた標識を見ることがあります。飯能市は、平成17年(2005年)「森林文化都市宣言」をしました。この宣言では、森林資源を活用し、新たな森林文化の創造により、心豊かな人づくりと、活力のあるまちづくりを推進することを謳っています。

 飯能では大人も子どもも森と親しみ、森とともに暮らしています。飯能では代々森を大切にすることを次の世代へ伝え、子どもたちは森に親しんで育ちます。学校では「森の仕事」をテーマにした授業や、地域では森林ボランティアの活動も盛んです。

飯能人は森の中で自由に過ごす2

 市内には森と自然を感じながら散策できるハイキングコースや、子どもたちが木製の遊具で楽しめる公園など、木と森を身近に感じられる場所のほか、ヒノキ等を使用したかわいらしい小物・インテリア等を扱う江戸時代からの職人技を受け継ぐ工芸品店や、森林で育ったスギやヒノキを使って、オリジナルの家具や小物などの木製品の製作体験ができる工房もあります。近年では、森の中で自然と一体になれるキャンプ場やバーベキュー場の人気も高まっています。

西川材を使った「木の体験」

井上淳治(いのうえじゅんじ)さん

 今回は、きまま工房 木楽里(きらり)を訪れました。工房の中に入ると、ヒノキのいい香りがしてきます。工芸品はテーブルや机などの家具のほか、木製のしおりやカード、写真立てなどが多数並び、木の香りの心地良さをいっぱいに感じることができます。

 先代からの山を守り、36年間林業に従事してきた森のエキスパート、井上淳治(いのうえじゅんじ)さんにお話しをお聞きしました。

まずは西川材について。西川材の魅力について伺うと「木目の美しさと艶(つや)ですね」と言う答えが返ってきました。

西川林業地1

 「西川林業地の木材はゆっくりじっくり育ちます。直径20センチほどの木材に育つまで、スギで40年、ヒノキで50年ほどの時間をかけて育ちます。他の産地の木材よりも10年以上長く、その分年輪幅が緻密で木目が美しいのです。また、使い込んでいくほどに艶(つや)が出るので、味わい深い木製品となります」とのこと。

 無垢(むく)の木を使った家具や家を体感することが少なくなっている現代にあって、質には絶対の自信を持つ西川材を使って、世界に一つだけしかないオリジナルの木製品を作ることができます。

西川林業地2

 「今の若い人には材質の良さなんてわからない」、と言う専門家もいるけれど、体験工房で西川材と他の材木を並べて「どっちの木材を使いたい?」と聞くと、皆が口を揃えて西川材を選びます。これは森林に囲まれて育ってきた日本古来のDNAによるものだと僕は思います」と井上さん。私たちには、無意識に良質な木を選ぶ力が備わっていると言えるのかもしれません。

 木の良さを知ってもらうには、実際に触れてみることが大切だと思った井上さんが、木製品の製作工房を開いて20年以上が経ちました。「当初は中高年のお客様を想定していたところ、30~40代のお客様が新居を構えるに当たって新しい家具が欲しいと訪れることが多い」のだそう。

西川林業地3

 テーブル、椅子、棚など、住む家に合わせたオリジナリティのあふれる木製品を、自分の手で作りたい。そういった希望は、持続可能な環境社会の実現を目指すこれからの時代にあって、ますます増えるでしょう。自分で作ったものには愛着も湧き、木の香りが、癒しとリラックスをもたらします。飯能の森に足を踏み入れたような気持ちになる西川材の木製品、自分で作ってみませんか?

【きまま工房 木楽里(きらり)】
http://www.k-kirari.co.jp

飯能市のみどころ紹介

木工製品紹介&エリアマップ「西川材“もの”がたり。」

木工製品紹介&エリアマップ「西川材“もの”がたり。」

 今回は「森」をテーマとした観光スポットをご紹介します。楽しみ方にあわせてお出かけしてみませんか?

【ムーミンバレーパーク】

【ムーミンバレーパーク】

 ムーミンバレーパークは、メッツァ(フィンランド語で「森」)という施設にあります。メッツァには「ムーミンバレーパーク」と「メッツァビレッジ」の2つのエリアがあり、共に森林と湖に囲まれた気持ちの良い空間です。ムーミンバレーパークでは、ムーミン一家が暮らすムーミン屋敷を体験できたり、小説や絵本の世界を体験できるスペースもあります。メッツァビレッジには北欧をイメージしたショップや、宮沢湖の周りではカヌーや「ファンモック」などアウトドアアクティビティを楽しめます。

詳細はこちら
https://metsa-hanno.com

【天覧山】

【天覧山】

 手軽にウォーキングや散策、ハイキングが楽しめます。標高197mと低く、麓の能仁寺から頂上までは10〜20分程度で登頂可能です。市街地に隣接しているうえ、コースは整備されており、初心者も登りやすいハイキングコースです。

動画でもぜひご覧ください。

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※2021年3月現在の情報です。