知る!買う!食す! 埼玉発の発酵食品の世界をのぞいてみよう

近年の健康志向の高まりや食文化の多様性により、発酵食品の人気はますます広がりをみせています。

日本酒を始めとした酒類や味噌・醤油などの調味料、チーズや漬物など、私たちの暮らしに欠かせない発酵食品が数多くあります。

埼玉県内でも、実に多彩な発酵食品がつくられており、地元で長く親しまれてきた味わいから、贈り物に喜ばれる逸品まで、魅力あふれる品々が揃っています。

本記事では埼玉県内でつくられている様々な発酵食品はもちろんのこと、埼玉の発酵食品をより深く楽しめるスポットもご紹介します。

知って、訪れて、味わって、埼玉の発酵文化の奥深さを体感してみませんか。

 

 

■こんなにある!埼玉の発酵食品■

酒類(ビール・日本酒・ワイン・焼酎・クラフトジン・ウイスキー・ミード(蜂蜜酒))

●ビール

埼玉県内には「COEDOビール」をはじめ、個性あふれるクラフトビールを醸造するブルワリー(醸造所)が数多く点在しています。地域活性を目的に、その土地ならではの農産物を活用したブルワリーや、自社農園で育てたホップを使用し、原材料や味わいの個性を追求するブルワリーなど、こだわりのポイントはさまざまです。店舗やオンラインショップで購入できるブルワリーや、店内での提供のみという小規模なブルワリーもあります。お気に入りの一杯を探しに、各地のブルワリーを巡ってみてはいかがでしょうか。

●日本酒

埼玉県は日本酒の生産量が全国第4位を誇る、知る人ぞ知る酒どころです。荒川水系と利根川水系という良質な伏流水に恵まれ、江戸時代より盛んに醸造が行われてきました。2025年現在、県内には31の酒蔵があり、それぞれが個性豊かで趣向をこらした日本酒を醸造しています。また、2024年には「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録され、日本酒文化のさらなる発展が期待されています。自然の恵みと職人の技が生み出す、埼玉ならではの一杯をぜひお楽しみください。

 

●ワイン

埼玉県のワイン造りは、豊かな自然に囲まれた秩父エリアを中心に行われています。秩父エリアは朝夕の寒暖差が大きい気候のため、ぶどうの糖度や色づきが高まりやすく、ワイン用ぶどうの栽培に適しています。県内のワイナリーは決して多くはありませんが、「源作印ワイン」をはじめとする国内産ワインの銘柄も知られており、その品質の高さには定評があります。自然の恵みと造り手の情熱が詰まった埼玉のワインは、ご自宅用はもちろん、おみやげにもおすすめです。

●焼酎

埼玉県で造られる焼酎は、専門の醸造所はなく、日本酒の酒蔵で丁寧に醸造されています。出荷本数も少なく、銘柄も限られているので、見つけた際にはぜひ手に取って味わってみてください。また、モデルコースで紹介する「小江戸蔵里 『ききざけ処』昭和蔵」では、試飲することができます。

●クラフトジン

川越にある「武蔵野蒸留所」では、クラフトジンの研究・開発が行われています。国内でも珍しい国産オリジナルの蒸留機を用いて丁寧に造られるジンは、他では味わえない貴重な一品です。希少な国内産ジンをぜひ味わってみてください。

●ウイスキー

埼玉県内のウイスキー専門の醸造所はわずか数カ所と限られますが、その希少性ゆえに密かな人気を誇っています。香り高く奥深い風味を持つウイスキーは、日本国内だけでなく、ジャパニーズウイスキーとして世界でも注目されています。

●ミード(蜂蜜酒)

ミード(蜂蜜酒)を専門に醸造する醸造所は全国でも数が少ない中、秩父郡小鹿野町にミード専門醸造所があります。ミード(蜂蜜酒)とは、蜂蜜を発酵させて醸造させたもので、豊かな香りとやさしい甘みのある贅沢な味わいが特徴。ミード(蜂蜜酒)の歴史はワインやビールよりも古く、14000年以上前に人類が出会った「最古のお酒」とも言われるめずらしいお酒の一つです。ロックやソーダ割りはもちろん、レモンやシナモンを入れたり、温かい紅茶やミルクで割るなど、色々とアレンジをしてお楽しみいただけます。

味噌

美味しい水と豊かな自然に恵まれた埼玉県では、昔から秩父や県北エリアを中心に味噌づくりが盛んに行われてきました。大豆や米こうじ、塩を使った「米味噌(田舎味噌)」は、まろやかでクセがなく、どんな料理にもよく合う味わいです。また、大豆と麦こうじ、塩で仕込む「麦味噌」はほんのり甘く上品な風味が特徴です。そして、埼玉の郷土料理「おなめ」は、“食べる味噌”として親しまれています。なすやしょうが、季節の野菜などを刻んで混ぜ合わせたもので「あまりのおいしさに、つい箸をなめてしまうほど」と言われたことが名前の由来です。ご飯やお野菜にのせて、またはお酒のおつまみに、昔ながらの人気の商品をぜひお楽しみください。

醤油

埼玉県内には、個性豊かな醤油の蔵元が点在しています。原材料にこだわり、味のバリエーションを追求した蔵元や、昔ながらの木桶を使った伝統的な醤油作りを守る蔵元もあり、蔵元ごとに異なる醤油の味わいを楽しむことができます。有機醤油や生醤油、だし醤油など多彩なラインナップも魅力的です。各蔵元の醤油を食べ比べて、好みの味や使い方をみつけてみてください。また、工場見学や醤油作りの体験を実施している蔵元もあるので、醤油作りに触れてみるのもおすすめです。

漬物

埼玉には、地域ごとに特色ある漬物が受け継がれており、秩父地方の伝統的な保存食・しゃくしな漬けや、歴史と技術の詰まった奈良漬け、埼玉県産の野菜を使った、たくあんや味きゅうりなど様々な漬物を楽しむことができます。 地産地消を意識した漬物も多く、埼玉ならではの味わいを手軽に味わえるのも魅力です。地元のスーパーや道の駅での取り扱いもあるので、毎日の食卓に取り入れてみてはいかがでしょう。

チーズ

埼玉県内には、チーズを製造する牧場や専門の工房が数カ所あります。熟成タイプのチーズや、モッツァレラなどのフレッシュタイプ、カマンベールなどの白カビタイプまで、さまざまなチーズが作られています。取り扱っているお店が少ないため、牧場や工房を訪れるか、店舗のオンラインショップで購入するのがおすすめです。

■発酵食品を楽しむモデルコース■

さらに埼玉の発酵食品の魅力に迫るために、発酵食品をめぐる日帰りモデルコースをご紹介。

【体験】【味わう】【買う】ができる4つのスポットで、実際に発酵食品に触れたり、購入したり、味わったりすることができます。

楽しいだけでなく体にもやさしいスポットをめぐり、発酵食品三昧の1日を過ごしてみましょう。

spot1/小江戸蔵里 『ききざけ処』昭和蔵(有料試飲)【味わう&買う】

●11:30 ずらり並んだ埼玉のお酒を有料試飲で飲み比べ! 

川越市産業観光館 小江戸蔵里『ききざけ処』昭和蔵(有料試飲)

 

西武新宿線本川越駅から徒歩約3分の場所にある「小江戸蔵里(こえどくらり)」は、かつて旧鏡山酒造の酒蔵として使われていた蔵をリノベーションした施設です。

 

建設された時代ごとに「明治蔵」「大正蔵」「昭和蔵」と名付けられた3つの蔵は、国の登録有形文化財に指定されています。各蔵で川越の特産品や埼玉県のお酒、地産地消の食事を楽しむことができるので、川越観光ではぜひ立ち寄りたいスポットです。

中でも、『ききざけ処』昭和蔵には、埼玉県にある全31酒蔵の日本酒をはじめ、 日本酒約140品、ワインやリキュールを含めると約180品のお酒が揃っています。そのうち約80種類は有料で試飲できるようになっています。

試飲はメダル制で、500円で3枚のメダルを購入し、紙コップを受け取ります。試飲機で試飲できるお酒は、メダル1枚使用が約40種類、メダル2枚使用が約10種類。そのほか対面カウンターがあり、メダル2~4枚使用のお酒が30種類ほどそろっています。お酒の味を堪能できるうえ、飲み応えも十分。メダル3枚で3種類の日本酒を試飲して大満足!という人も多いそう。

定番の日本酒や大吟醸は試飲機で、季節ものや話題性のあるお酒は対面カウンターで提供されるので、まずは一通りチェックしてから試飲するのがおすすめ!気になっていた銘柄を試したり、新しい味を発見したり、楽しみ方は人ぞれぞれです。

 

人気なのは、メダル1枚で試せる大吟醸や、試飲でしか味わえない銘柄。日本酒と一口に言っても、ワイン酵母を使ったものや、四季ごとの限定酒などバリエーションも豊かです。迷ったときは『ききざけ処』のスタッフに相談すると、各酒蔵の特徴なども教えてもらえるので、自宅用・贈答用のお酒選びにも良いアドバイスがもらえるはずです。

館内では、みそ田楽など試飲と合わせたおつまみや、味変用リキュール付きソフトクリーム、埼玉県産のノンアルコールドリンクも楽しめます。醤油や味噌などの発酵食品も販売しているので、お酒を嗜まれる方だけでなく、お酒を飲まない方も充実した時間を過ごせる施設です。

【DATA】
川越市産業観光館 小江戸蔵里 『ききざけ処』昭和蔵
所在地:埼玉県川越市新富町1-10-1
TEL:049-229-6110
営業時間:11:00~19:00
定休日:なし(臨時休館日あり)

↓ 徒歩約15分

spot2/うんとん処 春夏秋冬【味わう】

●12:30

金笛醤油の深い味わいをお食事や甘味でいただく

うんとん処 春夏秋冬

 

ランチは、川越一番街商店街(蔵造りの町並み)にある「うんとん処 春夏秋冬」へ。

 

寛政元年(1789年)創業の老舗「笛木醤油」が、醤油の魅力を伝えるためにオープンしたお食事処で、自家製麺と醤油の香り豊かなつゆが評判です。

つゆの味の決め手は、笛木醤油のブランド「金笛醤油」。色味は濃厚でありながら、味はまろやかで味わい深く、香り強いのが特徴です。

笛木醤油の醤油は、丸大豆・小麦・天日塩のみを原料に、杉桶で1年半~2年かけてじっくり発酵熟成しています。熟成期間が長いことで塩角が取れ、香り高くまろやかな味わいに仕上がります。また、杉桶で発酵熟成することで、その蔵に付いた酵母が独自の味わいを作り出すため、笛木醤油ならではの味を楽しむことができます。

 

メニューも多彩で、定番のうどんやかき揚げはもちろん、季節のメニューとして洋風つゆのうどんなど、ユニークな一品も味わえます。また、醤油のロールケーキやみたらし団子などもあり、甘味にも醤油の香ばしさが活かされています。

中でも、金笛醤油の美味しさを味わうなら、温かいうどんと角煮丼がセットになった「金笛セット」がおすすめ!

 

つゆは一見濃く見えますが、塩味はマイルドでとても上品。一口食べると出汁のうまみと醤油の香ばしさがふわりと広がります。うどんはつるりとした口あたりながらもっちりとした食感で食べ応え十分。

 

角煮は、米ぬかで下茹でした豚バラを金笛醤油で煮込んだ手間ひまかけた逸品で、箸でスッと切れるほどにやわらかく、旨味がぎゅっと詰まっています。

食後のデザートには、隣接する「川越バウムLab.」で焼き上げた「川越ソフトバウム アイス添え」がおすすめです。そのままでも美味しいバームクーヘンとアイスですが、添えられた「スイーツにかけるしょうゆ」をかけると、醤油の香ばしさとカラメルのようなほろ苦さが加わり、一つで二度美味しい贅沢な味わいを楽しめます。

【DATA】

うんとん処 春夏秋冬

所在地:埼玉県川越市幸町10-5

TEL:049-225-6701

営業時間:平日11:00~16:00(L.O 15:00)、土日祝日11:00~17:00(L.O 15:30)

定休日:なし

こちらもおすすめ!「金笛しょうゆパーク(川島町)」

 

うんとん処 春夏秋冬の本社「笛木醤油」が運営する「金笛しょうゆパーク(川島町)」は、醤油を“食べる”“学ぶ”“買う”“遊ぶ”ことができるスポット。2025年9月には、新たに「創業の蔵『江戸蔵』」がオープン。リノベーションで甦った江戸時代の貴重な蔵を見学できるほか、醤油やしょうゆ麹などを作るワークショップ(要予約)を開催しているので要チェックです。

 

↓ 徒歩約3分

spot3/弓削多醬油 醤遊王国 川越時の鐘店【体験】【味わう】

●13:45

醤油しぼりに挑戦!醤油ソフトやお団子は甘じょっぱさがクセになる

弓削多醬油 醤遊王国 川越時の鐘店

 

かねつき通りに漂う香ばしい香りに誘われてたどり着くのが、「弓削多醬油 醤遊王国  川越時の鐘店」です。

1923年(大正12年)創業、坂戸市(本社)と日高市に工場を持つ醤油の蔵元で、主に木桶仕込みの醤油を製造しています。

木桶で仕込む醤油は香り高く、気候や風土に合った酵母が育つため、蔵ごとに味わいの違いがはっきりとでるのが特徴です。ほかにも、有機醤油や生醤油、だし醤油など20種類以上の醤油を製造しており、おいしくて安全な醤油を提供しています。

店内には醤油のしぼり体験コーナーもあり、高さ1mを越える大きな木桶に1年以上仕込まれたもろみから手搾りで醤油をしぼることができます。自由に体験(無料)ができるので、ぜひ、醤油がどんなふうに搾られているのか体験してみましょう。

 

ここで搾られた生醤油は、店内の軽食コーナーで「たまごかけご飯」に使われるほか、「川越搾り」として店頭でも販売されており、 さわやかな旨味で後味すっきり。お刺身や卵かけご飯との相性も抜群です。

また、店内には様々な種類の醤油が並び、どれを選ぶか迷うほど。そんなときは、お試しコーナーへ。

醤油10種類のほか、地味噌やおなめの試食も用意されており、味比べをしながら自分好みの醤油や味噌を見つけられます。

川越時の鐘店ならではのおみやげには、川越の干し芋を使った「時の鐘しょうゆ」がおすすめ!甘みととろみがある醤油で、どんな料理に合わせるか考えるのも楽しみです。

さらに店頭では、醤油を使った甘味も楽しめます。「醤遊ソフトクリーム」は、醤油の香りと塩気で甘さを引き立てる甘塩っぱい味わいでクセになる一品。そのほか、「醤油だんご」も揃っており、弓削多醤油ならではの風味を存分に堪能できます。

DATA

弓削多醬油 醤遊王国 川越時の鐘店

所在地:埼玉県川越市大手町14-5

TEL:049-298-4491

営業時間:10:00~17:00

定休日:火曜

こちらもおすすめ!「醤油王国 日高本店」

 

日高市にある「醤油王国 日高本店」では、工場見学や醤油しぼり体験が楽しめます。

「自分しぼり(有料)」は、木桶で仕込んだもろみをじっくり搾る本格的な醬油しぼり体験です。ここでしか手に入らないしぼりたての生醤油をその場でビン詰めするのでお土産にも大変喜ばれています。しぼりかすもお持帰りできるので、お野菜やお肉を漬けてお楽しみいただけます。

「ちょっとだけ搾ってみたいな」と言う方には、「しぼり体験(無料)」もありますので、是非体験してみてください。

↓ 徒歩約3分

spot4/ECCOLA りそなコエドテラス【買う】

●14:15

県内の発酵食品をまとめて便利にお買いもの

ECCOLA りそな コエドテラス

 

蔵造りの街並みの中で一際目を引くのが、1918年(大正7年)に建築され、かつて第八十五銀行の本店として使用されていた洋風建築です。現在は川越のランドマークとして、埼玉県内の「農と食」の魅力を発信するチャレンジショップや飲食店が営業しています。

その1階にある「ECCOLA りそな コエドテラス」は、地産地消をテーマにしたセレクトショップです。

 

埼玉県ゆかりの商品だけを揃えており、秩父産のワインや、秩父出身の総料理長「門平光正シェフ」が作る秩父おなめを使ったバーニャカウダソース、秩父やまなみチーズ工房の「チーズのオリーブオイル漬け」など、発酵食品や加工品やモッツァレッラチーズ、秩父カマンベール、黒ビールチェダーなどのフレッシュチーズをお土産として購入できます。

「ECCOLA りそな コエドテラス」には、県内初となるチーズ工房併設のピッツェリアも展開しています。

 

チーズファクトリーでは、「秩父やまなみチーズ工房」高沢さん監修、秩父の「吉田牧場」のミルクを使用したモッツァレラチーズ「川越モッツァレッラ」と、ブッラータチーズ「川越ブッラータ」を手作りしています。

 

 

ここで作られたチーズはピッツェリアでカプレーゼ串や川越ブッラータとして提供されており、できたてのフレッシュでミルキーな味わいを楽しめます。

さらに、ピッツァメニューには、秩父おなめのバーニャカウダソースや、弓削多醤油で作った照り焼きソース、秩父兎田ワイナリーの秩父ルージュを使ったソースなど埼玉ならではの食材を活かしたメニューが揃っています。

ショップと飲食店が併設しているので、買う・食べるを一度に楽しめるのも魅力です。埼玉県産の食材や発酵食品の魅力を存分に堪能できる「ECCOLA りそな コエドテラス」は、川越観光の立ち寄りスポットとしておすすめです。

【DATA

ECCOLA りそな コエドテラス

所在地:埼玉県川越市幸町4-1

TEL:0492-98-8071

営業時間:物販10:00~18:00/ピッツァ10:30~18:00/ジェラート10:30~17:30

定休日:なし


※2025年11月現在の情報です。

※この情報は掲載日時点のものとなります。最新の情報はホームページ等をご確認のうえ、おでかけください。