埼玉での旅をより快適に、より安全安心なものにするために、
オススメしたいのが“SAKURAQUALITY(サクラクオリティ)”の認証施設を利用することです。
サクラクオリティとは、宿泊施設の観光サービスの品質を第三者が評価する認証制度で、
お客様は求めるサービスレベルの宿をサクラの数で選ぶことができるとともに、
施設側はサービス品質の向上に取り組みながら自らのサービスレベルを自信を持って示すことができる仕組みです。
埼玉県内では現在4つの施設が導入しており、今回はそれらの施設での取り組みをご紹介します。
長瀞の川のほとりに佇む、豊かな緑に囲まれた「小さなホテル セラヴィ」。セラヴィ(C’est La Vie)には、フランス語で「それもまた人生」という意味が込められています。玄関の大きなステンドグラスと看板に出迎えられて中に入ると、アンティークに囲まれた心地よい空間が広がり、初めて訪れたときでさえ「ただいま」と言いたくなるような、リラックスさせる雰囲気に包まれます。
「もともと長瀞町にゆかりはなく、何もわからないところから1980年からホテルの運営をスタートしました。昔から懐石料理に興味があって勉強していたため、ご提供するお料理にはこだわりと想いがありました。最初はプロの板前さんに手伝ってもらい、その後は自分でお料理を提供していました。けれども基礎が足りない、もっとグレードアップしたいと思っていた頃、知り合いの日本料理一筋50年の板長さんが、自分でよければ…と力を貸して下さり、私自身は調理場を離れ、ホテル全体でお客様が心の底から寛いで頂ける空間づくりにこだわりをもって取り組んでいきました。その後もセラヴィの味を受け継いで、今に至ります。」
「私は日本料理が世界で一番美味しいと思っています。すごく繊細で美味しく、そして美しい。セラヴィで提供するのは日本料理です。お野菜などの素材は、全部で65種類以上にも及びます。板長は自分の畑のほか、農家さんをはじめ、農協、市場などすべてを周り、厳選された食材のみを提供しています。野菜は畑からの採れたてが一番美味しい。しかしそれをただそのまま出すのではなく、一瞬だけ出汁につけたり、昆布を巻いたり、蒸したりと、ほんの少し手間をかけてより本来の味や歯ごたえの魅力を出す。その繊細さに、お客様から「野菜が本当に美味しい」というお褒めの言葉をいただきます。お腹いっぱい食べても消化がいいので、翌朝またお腹が空いている。心身ともにデトックスできると喜んでいただいています。」
「セラヴィにあるアンティークは、ただの飾り物ではなく全て現役で使えるものです。蓄音機も。レコードプレイヤーも。ラウンジにあるテーブルはルーレット台として昔のまま遊べたり。ステンドグラスは日本製ステンドグラスの初期のものだそうです。バルコニーに施された彫刻は地元の宮大工さんに彫って頂き、それにより窓から見える景色が絵画のように広がりました。本物のアンティークには人の感情に響く力があります。それらに包まれたやすらぎのひとときをここで過ごしていただきたいのです。」
「すべて私のこだわりなので、後から新たな品々を置いても統一感のある落ち着いた空間が生まれます。コロナウィルス感染症への対策のために新たにパーティションを設置した際は、地域の宝である秩父銘仙の古い型紙を入れ込み彫刻で仕上げたものを、地元の作家さんに作ってもらいました。「ここだけのもの」にこだわってます。アンティークのある空間を美しくするのに大切なのは清潔感。スタッフも掃除には徹底して取り組んでいます。お客様が床に落とし物して拾う時も、床がツルツルしていて驚くほどです。実はお客様には見えない調理場の床もピカピカに磨いています。表も裏も清潔で気持ち良い空間を作ることを心がけています。」
「私は全旅連(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会)女性経営者の会に所属していて、その全国各地にいるお友達からサクラクオリティの話を聞いて、興味を持ちました。どうやったら認定を受けられるのか全くわからない中、埼玉県内の宿泊施設を対象に勉強会を開いてくださることになりました。もう40年も自己流でも館を経営してきて、おかげさまでこれまで口コミやいろんなサイトで良い評価を得ることができていましたが、もう少し違った角度から評価してもらうのもいいかなと思っていました。」
「実は絶対評価は5(満点)だと自信を持っていたんです。ところが思ったよりも自分たちの施設の評価が低かったことが衝撃でした。自分たちの目線では見落としがちだったところで、いろんな評価の基準があることがわかりました。チェックしていただいた後に、調査員の方にまた来ていただいて、いろんなお話を伺えたことで、改善のきっかけになりました。具体的には、夕食後のバータイムを設けたらどうかとか、それまで取り組んでこなかったことに目を向けることができました。」
「各自グループに分かれてそれぞれが責任を持って『ここはこうしよう、次はああしよう』と新たな目標を持ってくれるようになりました。点数ってやっぱり気になりますし、いい点を取りたいと思うとスタッフの士気も上がります。スタッフ同士で自主的に接客マニュアルを作ったりもしているようです。私自身は『お辞儀の角度より、ありがとうと思う気持ちの角度の方が大切よ』というタイプなので、マニュアルは好きではないんですけれど(笑)」
「リピーターのお客様のご利用が徐々に増えています。1年に1度ではなく、2〜3ヶ月に1回ほど施設をご利用いただくお客様が特に増えています。桜、新緑、紅葉と季節ごとにいらっしゃるお客様も多いです。セラヴィにはしつらえの異なる5つの客室があり、リピーターのお客様にはそれぞれお好みのお部屋があります。まるで自分の部屋のようにくつろいでいただけるのが嬉しいです。それぞれの客室には万華鏡やオセロなど、大人が一瞬で童心に帰れるようなレトロなおもちゃを置いたり、いつ来ても少しだけどこかに変化をつけています。私自身が飽きっぽいのもあるのですが(笑)、質のいいものに囲まれて過ごしていただきたい。部屋に置いてあるノートにはお客様からの感想などいろんなことが書かれていて、お客様自身が楽しんで滞在いただけていることがわかるので、こちらもとても幸せな気持ちになります。」
「サクラクオリティは人間ドックのようなものだと思います。健康には全然問題はないと思っていたけれど、ちょっとやってみようかなと思って受けてみたら心配な項目がいろいろありました。長年施設の運営を続けていると、目の前のことに忙しくて、毎回同じことをしていてもどこか抜けていることがあると思います。大きな抜けではなくても、その積み重ねですよね。3+サクラ以上を目指す為に、全国各地のホテルや旅館を見てきたプロ中のプロの方が評価してくれる。自分たちの施設の価値を人に評価してもらうのは大きいです。検査項目は1300件ほどに渡り、かなり細かいため、自己チェックするだけでも、日々の施設運営が違ってくると思います。」
「サクラクオリティの評価を上げること。やっぱり点数は気になりますし、やる気になります。2019年の台風の影響で、施設内の部屋が2つ崩壊してしまったんです。現在その箇所を修復工事していますが、元のような客室ではなく、庭を眺められるカフェのような新たなスペースにしようと考えています。サクラクオリティのおかげで私自身もやる気が出てきました。お客様にとっても、従業員にとっても『いい宿だった』『いい宿で働けた』と言ってもらうことが私の一番の夢です。接客する人が幸せじゃないと、お客様を幸せにはできませんよね。だから私自身、日々幸せでいることを大切にしています。」
明治後期に創業し、女流文学者・大谷藤子の小説「須崎屋」のモデルに擬せられた温泉旅館「須崎旅館」。古き良きレトロな雰囲気をそのままに、訪れる人のニーズにきめ細やかに応えられるよう、様々なチャレンジを続ける旅館です。秩父・小鹿野の歴史や文化、食に精通した女将さんにお話を伺いました。
「両親がここで旅館を営んでおり、私は6人きょうだいの5番目として生まれました。もともと兄が旅館を継ぐ予定だったのですが、その予定が変わり、私が中学3年生の頃に、両親から将来旅館を継いで欲しいと言われました。地元の高校、都内の短大を卒業した後に、長野県の昼神温泉で旅館運営のための修行をしました。22歳の時に小鹿野町に戻ってきて以来、25年間旅館運営を続けています。」
「昔の須崎旅館はビジネス利用のお客様がほとんどで、観光利用のお客様はそれほど多くない状況でした。その後、ビジネス利用が減少するなかで、観光利用のお客様の集客を真剣に考えはじめました。インターネットが普及し始めた2000年に、旅館のホームページを開設し、観光のお客様が増えてきたのをきっかけに、観光地としての小鹿野は皆様にどう見られているのだろうと、歴史、文化、食材などいろいろなことを調べました。そうしたら歌舞伎やお祭り、水の美味しさ、秩父銘仙などいろんな良さがある。地元では当たり前だと思っていたものが、観光客の方から見たら面白いものなんだと気づきました。」
「小さなホテル セラヴィの清水さんにご紹介いただいたのがきっかけです。コロナ禍でいろいろと考える時間があったこともその後押しとなりました。お客様に安心してお泊りいただける評価基準があり、サクラクオリティを取得しておくと信頼が構築できる。埼玉県内では先進的なお取組みをされている施設が導入されていたので、須崎旅館もダメもとという意識で導入をしました。」
「本当に勉強になりました。いろんな課題を、お客様目線で気づかせてくれて、私だけではなくスタッフにも課題点が共有できるのが良い点だと思いました。具体的には、『駐車場の案内の看板がない』『湯上りどころを作ってはどうか』といった細かな気づきから改善ポイントを見つけたり。取り組める範囲でいろんなことを改善していけることに気づきました。」
「もともと小鹿野町は絹織物で栄えた町で、群馬県や長野県から繭を買い付けに来る人々のために旅館業がスタートしました。絹織物と縁が深いので、その魅力を後世に伝えたいという思いもあります。文化財のように置いておくのではなく、宿泊の方に着ていただくプランもあります。若い人がポップなスタイルで秩父銘仙を着ていたりするのを見るのも楽しいです。地元の方々が『うちにもあったよ』と秩父銘仙を旅館へ持ってきてくださったり、そういった今となっては貴重な伝統的な情報や物が旅館に集まってきてくれるのが嬉しいです。」
「地元の魅力を知っていただける場であることでしょうか。秩父銘仙を着て散策して頂いたり、地元の商工会議所と連携して鹿肉などを使ったジビエ料理を提供したり、毘沙門水を使ったかき氷を作ったり。食べられるダリアの花を無農薬で作っている農家さんがいらっしゃるので、ダリア料理を開発したり、冬は秩父黄金かぼすを使った料理で小鹿野の魅力を感じて頂けたらうれしいです。」
「まずはサクラクオリティの自己チェックで、丸を付けられなかった項目に、しっかり丸を付けられるようにしたいです。一年に一つ、評価を上げることができるといいなと思っています。例えば『三峯神社までどのくらいかかりますか?』など、お客さまから質問が多い項目については整理して、ホテルのコンシェルジュのように、受け応えできるようなリストアップもしようかと思っています。またリピーターのお客様のご利用も増えていますので、月毎に変化をつけたサービスも提供したいと思っています。今、利酒は日本酒で出していますが、蜂蜜酒やワインの月もあります。お客様の目線で新しいことにチャレンジすることは大切にしたいです。」
「導入には費用もかかるので躊躇してしまうかもしれませんが、サクラクオリティを導入することでスタッフのモチベーションを高めることができます。旅館は人手不足で悩んでいる経営者の方も多いと思いますが、スタッフのホスピタリティがあってこそ運営が成り立っています。私自身、日々お客様に喜んでもらうのが何より楽しいと思って旅館業に取り組んでいますので、私のような人間にも実践できるというのを希望にしてもらえたら嬉しいです。」
埼玉県内のサクラクオリティ認証施設は現在4施設があります。観光地として、スポーツアクティビティの拠点として、そしてコロナ禍を経た近年ではワーケーション拠点として、さまざまなニーズに応えるエリアとして、埼玉県内の宿泊施設は注目を集めています。都心をはじめ全国各地の方へのアピールはもちろん、地元・埼玉県内在住の方々へのアピールポイントとしても、サクラクオリティはその威力を発揮することでしょう。
木々に囲まれた中に佇む癒しのホテル。調度の1つひとつがアンティークのロビーやレストラン、5つの個性豊かな客室で過ごす時間は非日常的ながらも「ただいま」と言いたくなるような心地よさがある。65種類以上の野菜や山の恵みを使って提供される料理は絶品。
詳細はこちら
https://ceravie.com/
古き良き時代のレトロな雰囲気が残る温泉旅館。秩父の郷土料理「肉の味噌漬け」、地元で獲れた野生の「鹿肉のロースト」など滋味あふれるお料理も満喫できる。大竜寺温泉はPHが高く、肌がスベスベに。着物の着付け体験プランも人気。
川のせせらぎと木の香りが心地よい宿。鉄筋和室の翆明館、別館・木造和室の清風館のほか、一棟貸切タイプの高級離れ・ハミングといった趣の異なる客室が揃う。100年受け継がれてきた柔らかな冷鉱泉、旬の素材と郷土の食材を生かした彩り豊かな料理も魅力。
詳細はこちら
https://www.taishoukaku.com/
ビオトープをテーマに、宿泊、BBQ、スパなどが楽しめるリゾート型の複合施設。グランピングやサウナを設えたキャビン、ドーム型のムーミンスペシャルルームなど様々なテーマの宿泊施設が魅力。水着で入れるお風呂もあり。8000冊の雑誌やコミックを読めるライブラリも。
詳細はこちら
https://opark.jp/
SAKURAQUALITY(サクラクオリティ)は、一般社団法人 観光品質認証協会によって運営されています。
https://www.sakuraquality.com/
※2022年12月現在の情報です。