戦国時代の埼玉県は武蔵国と呼ばれ、北条家、上杉家、成田家など有名大名たちがしのぎを削っていました。
今回のちょこたびコラムでは、戦国時代の埼玉県についても遊びながら学べるボードゲームをご紹介します。
■ ほぼ武蔵の国盗合戦~ゲームで学ぼう!戦国時代の埼玉・東京~とは?
埼玉県の地理や歴史を楽しく学ぶことを通じ、埼玉県の魅力をPRすることを目的に、昌平中学・高等学校の社会歴史研究部の生徒が制作したものです。
平均プレイ時間は2時間から3時間。子どもから大人まで幅広い年代のプレイが可能です。ルールやコマはゲーム紙面に印刷されており、ダウンロードした紙面以外にはサイコロ1つあれば、すぐゲームを楽しめます。
各郡ごとに兵力や石高が違うので、それぞれの地域の特性がゲーム展開に関わります。各郡の有名なお城の名前もすぐに覚えることでしょう。
各郡の特性のみでなく、海や川といった地理の要素もゲームに大きく関わってくるため、地理についても楽しく学ぶことができます。ちなみに利根川など、現在とは異なる場所を流れていることもあります。川の流れが時代によって異なることも実感できると思います。
戦略は1つではなく、運に左右される場面もあるため、やればやるほど面白くなります。
ゲームタイトルを「武蔵」ではなく「ほぼ武蔵」としているのは、昌平中学・高等学校のある埼玉県北葛飾郡杉戸町が戦国時代には下総国(しもうさのくに)に属していたからです。葛飾郡(現在は埼玉県東部)は、江戸時代初期の利根川東遷事業により太日川が利根川下流になったことで、武蔵国(むさしのくに)に編入されました。
■ ボードゲームについて
□ 準備
ますはゲームをダウンロード! ⇒ ダウンロードはこちらから
① サイコロを2つ用意し、自分の兵力を示すコマを用紙から切り取る。
各自、端にあるどこか1つの郡をスタート地点とする。ただし、石高10以上の郡を除く。
③ 初期設定として兵力を5とする。
④ プレイヤーのいない郡には、独立勢力として兵力4を置く。
□ 進め方
① 各自、ある郡から隣接する別の郡に兵を移動することができる。
兵の数に制限はなく、まったく動かなくても良い。ただし、支配する郡には兵力を最低1はおくこと。
② 移動先に敵軍または独立勢力軍がいた場合は戦いになる。攻撃側を先攻として、交互にサイコロを振る。
次の計算式に従って、敵兵力を減らす。
[サイコロの目-城の数=相手の兵力の減少数]
※ 独立勢力との戦闘の場合城はカウントされない。
※ 基本的にはどちらかが全滅するまで続ける。
※ 攻撃側は、途中で戦闘を中止して撤退してもよい。
※ 防御側は、途中で戦闘を中止して隣国に逃げることができるが、サイコロを振って出た数の兵数を失う。
③ 一巡して自分の番が回ってきたとき、兵数が石高より少ない郡は兵数が2増える。(独立勢力は増えない)
④ 「イベントカード」は毎ターンごとに全員が起こすことができる。
サイコロを2回降って、【イベント発生】の指示に従う。
⑤ 10ターン終了時、郡の数が多いものが勝者。
⑥ 移動は1ターンに2回まで。※戦闘も含む
□社会歴史研究部の皆様にお伺いしました。
Q.ゲーム制作の経緯を教えてください。
A.ボードゲームを通して、武蔵の地理や歴史を伝えたかったからです。
Q.苦労したことや、工夫したことを教えてください。
A.史実通りの戦力を考えつつ、ゲームバランスを調整するのに苦労しました。
各郡の石高については、木村礎校訂『旧高旧領取調帳』(東京堂出版、1995年)に記載された、江戸時代末頃の石高を参考にしています。
Q.埼玉県内には城跡などが多く残されていますが、お気に入りの歴史スポットはありますか。
A.忍城と鉢形城です。忍城は豊臣秀吉の猛攻に耐えた城であり、関東七名城の一つです。
小説・映画『のぼうの城』のできごとが蘇ってくるようでした。
鉢形城は山城の様子がきっちり復元されていて、大変勉強になりました。