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ちょこたび埼玉

春日部市で、ちょこっと農業体験
穫って、作って、食べて、おいしい発見

ベッドタウンとして、また人気漫画・アニメ『クレヨンしんちゃん』の
舞台としても知られる春日部市。
近年は、首都圏外郭放水路の見学も人気となっています。
そして、もうひとつの顔が「農業のまち」です。
今回は春日部市で体験できるちょこっと農業体験の旅をお届けします。

果物狩りやお茶摘み体験もできる内牧地区

 江戸時代には日光街道・奥州街道の宿場町「粕壁宿」(かすかべじゅく)として栄えた歴史を持ち、近年は人気漫画・アニメ『クレヨンしんちゃん』の舞台としても知られる春日部市。東武鉄道や国道4号・16号が交差する交通の要所で首都圏有数のベッドタウンでありながら、実は農業のまちでもあります。

 春日部市西部、内牧地区にはおよそ27軒の農家が旬の農作物を作っており、各農家の入り口には「緑と味覚の里『内牧』へようこそ」という看板が立っています。ほとんどの農家で収穫体験ができることと、梨・ぶどう・柿・キウイ・ブルーベリーなど果樹園が多いのが特徴です。農家さんによってはみかん・プラム・栗・ラズベリーなどの収穫体験もでき、季節ごとに楽しめるエリアです。果物のほかにも春から夏にかけて、茶摘みを体験できる農家さんもあります。

 また、アスレチック広場やピクニック広場などのある内牧公園では、ゆったりしたスペースに炉が配され自然のなかでバーベキューを楽しむこともできます。

15代続く農園で、様々な収穫体験を

  春日部市の東部、庄和地区は、低地で河川が多い地形を活かし、昔から水田稲作と野菜栽培農業が盛んです。今回は大きなイチゴのタンクが目印の「春日部野口農園」を訪れました。

 野口農園ではブルーベリー狩り、いちご狩りなどの収穫体験のほか、石窯でのピザ作りや薪かまどご飯やフライドポテト作りなどを体験できます。園内にはヤギやウサギと触れ合えるエリアもあり、家族や友人同士、カップルで楽しめる観光農園で、この日も子どもたちがピザ作りに奮闘する様子や、若いカップルがいちご狩りを楽しむ姿も見られました。

 農園主の野口文夫さんはこの地で15代続く稲作農家。観光農園を始めたのは10数年ほど前からだといいます。

 「中学の同級生がブルーベリー狩りをやってみたいというので、小さな苗を植えたのが始まりです。その後観光農園として開放したところとても好評で、夏がブルーベリーなら、冬はストロベリーだろうということで、いちごの苗も植えてみたところ、出来がよく好評だったので、その後はいちごハウスを増やして継続しています」

 他にも稲作体験として田植えや稲刈り、6月にはジャガイモ、10月には枝豆の収穫体験ができます。
 「ジャガイモ掘りの後には、収穫したばかりの生のジャガイモをその場でカットして、フライドポテトにして新鮮な味を楽しんで頂いています。素揚げして塩やカレー粉で味付けして食べると、美味しいですよ」

 ほかにも、農耕作業に使用するユンボ(パワーショベル)の操作体験ができたり、藁の迷路や籾殻の山で遊んだりと、農園ならではの体験ができるということで、「訪れた方が喜んで笑顔になり、また来たいと言ってもらえると本当に嬉しくなります」と笑顔で語る野口さんから、こちらも温かい気持ちを頂きました。

開放的な空間でワークショップも

 野口農園で体験できるのは収穫だけではありません。石窯でのピザ作りや流しそうめん、バーベキューを楽しむこともできます。煎餅屋を営む知人が作ってくれたという石窯でピザを焼くと、ほんの数分でピザが焼き上がります。生地は野口農園さんで作られた米粉を使ったもので、高温で焼くとパリッと仕上がります。生地を伸ばしたり具材を並べたりするのに、子供も作業しやすいテーブルが用意されています。

 「このスペースは、もともと倉庫を改修して作りました。屋根がありながら開放的なスペースなので、密にならず人が集えます。カウンターには鉄板や冷蔵庫もあるので、シェアキッチンやイベントスペースとしても利用して頂いています。以前、食育インストラクターの方を招いて、味噌作り体験やおむすびカフェを開催したこともありますよ」と野口さん。農業や食をキーワードに様々な人が集うスペースでもあります。

 野口農園では、ほかにも、福祉事業所の障がいをお持ちの方々が作業できるよう「農福連携」を進めるといった取り組みも行っています。野口さんの大らかな人柄の下に様々な人が農園に集い、つながることで、多様性がキーワードとなるこれからの社会にふさわしいコミュニティが育ちつつあります。

春日部在来大豆を使った「豆コロ」も

 春日部在来大豆はもともと春日部市内の田んぼの畔道で作られていた独自の品種で、野口農園でもそれらを加工したものが販売されています。
 「豆コロ」は春日部在来大豆の茶豆を茹でてつぶし、炒めたひき肉と玉ねぎを加えて作ったコロッケ。材料の6割が大豆でとてもクリーミーな味わい、「かすかべフードセレクション」にも選ばれている逸品です。
 また「黒豆茶」は春日部在来の黒豆を100%使用し、お湯を注ぐだけで美味しく頂けます。そして飲んだ後の豆はお酢を入れて黒豆酢として食べたり、お米と一緒に炊くと美味しい豆ごはんとして味わえます。

 ほかにも地元の高校生がパッケージデザインを担当した野口農園産のアイスクリーム(ブルーベリー、いちご、紫芋)、お煎餅、お米なども、おみやげとしておすすめです。
 意外な発見の連続に、体験したら誰かに伝えたくなる。そんな「春日部の味」をとことん味わえる農業体験をしに、いちど訪れてみてはいかがでしょうか。

春日部市のみどころ紹介・おすすめスポット

首都圏外郭放水路

周辺地域を洪水から守るために造られた、地底50mを流れる世界最大の地下河川。「地下神殿」とも称される高さ18mの調圧水槽は一見の価値あり。放水路の仕組みを学ぶ見学ツアーも行われています。(要予約)

道の駅 庄和

「大凧あげ」にちなんだ、凧が飾られた入り口が目印。本館・直売所では、地元農家さんが作った新鮮な野菜や果物や、かすかべフードセレクションのお土産品が揃うほか、食彩館にはメニュー豊富なフードコートがあります。

春日部大凧あげ祭り

豊作祈願や子供の初節句のお祝いとして、例年5月3日4日に縦15m、横11mの大凧を江戸川河川敷で揚げるお祭りです。庄和総合公園には、実物大の大凧のモニュメントが飾られています。

動画でもぜひご覧ください。

※2021年3月現在の情報です。