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ちょこたび埼玉

埼玉発、美味しい“かき氷”のススメ
~地域の天然氷や美味しい水を活かした絶品ふわふわ“かき氷”を堪能~

埼玉県には、昔から地域で継承され続けてきた天然のかき氷や、
地域の美味しい水を活かして作られる特別なかき氷があります。
夏はもちろん、季節にあわせて届けられるその味わいは、
食べる人に至福のひとときを与えてくれます。
今回は、そんな地域色豊かなかき氷の中から代表的なものをご紹介します。

時代をつなぐ、長瀞町の天然氷

 自然や水辺などのアクティビティで知られる長瀞町には、全国でも数軒しかない天然氷の蔵元があります。天然氷は氷池で作られる氷で、不純物を含まず透明度が高いのが特徴です。

 今回は、長瀞町で130年以上の歴史を持つ氷専門店「阿佐美冷蔵」を営む、六代目当主、阿左美幸成さんにお話をお伺いしました。

 阿佐美冷蔵の創業は明治23年。氷池を長瀞町に作ったことから始まります。元々天然氷は、当時盛んだった養蚕業のためにその保冷機能として使われていました。天然氷をかき氷として食べるようになったのは明治時代になってからです。氷を鉋(かんな)のような機械で削り、甘味をつけて主に来客用に出されていたと言われています。今のように冷凍庫がない時代だったため、氷が運搬や保存などにおいて、貴重なものとして扱われていたことが想像できます。

 天然氷を作るためには、一日中日陰の環境で、放射冷却現象(地面近くの熱が空へ逃げて、冷え込みが強くなる現象)が強いといった気候条件が必要です。晴天率が高く、寒気が入り、星が綺麗に見える長瀞町は、放射冷却が起きやすく、天然氷を作るのに適した環境と言えます。そして気温や天候をみながら、長年の目利き、経験をもとに氷と向き合っています。

"丁寧"に作り上げられる天然氷

 今も長瀞町で昔ながらの作り方を受け継いでいる阿左美さんに天然氷の作り方を伺いました。まず、初夏に氷池の草刈りをすることから始まります。そして秋になると、氷池から水が漏れださないよう、池の補修を丁寧に行います。

 阿左美さんによると天然氷づくりで、最も気を使っていることはこの「氷池から水が漏れないようにしておくこと」だそうです。万が一水が漏れてしまうと、氷の水量管理が困難なうえ、ひび割れなどにもつながってしまうそうです。阿佐美さんは「私の性格上、ここは自分が納得するまでやり通します。」とおっしゃっていました。

 10月頃に不純物が氷に吸収されないように、木の葉やゴミを取るため、氷池に水を張って満水にしては排水することを繰り返していきます。その後、12月の寒気の時期になると、氷が張り始めるため、氷上の落ち葉などをきれいに取り除いていき、しっかり水質や水量の管理を行っていきます。そして氷の圧力で氷池が壊れないよう、この時期に側壁の氷を壊しておきます。

 毎日1~2cmずつ時間をかけてできていく天然氷は、例年1月に厚さ13cm~15cmになり、完成を迎えます。完成時期を迎えると氷を切り出し、専用の倉庫で保存します。昔はおがくずを使って、丁寧に保冷されていたと言われています。

受け継がれる天然氷ならではの”おいしさ”

 天然氷と純氷(人工氷)は、氷ができるまでの工程に違いがあり、それが口当たりに表れます。
 放射冷却によって、水自体の温度が下がって凍る天然氷は、その結晶を目で見ることができるほどの大きさに仕上がります。一方、純氷(人工氷)は、製氷管を使って凍らせているため、色々な場所から同時に凍りはじめ、無数の小さな結晶ができます。結晶の大きい天然氷は、鉋(かんな)のような機械で削ると、スルスルとかつお節のようにきれいに削ることができますが、純氷(人工氷)は結晶が小さいため、そうはいきません。それが食感に大きな違いを与えます。
 また、氷の硬さにも違いがみられます。天然氷を奥歯で嚙んでも、なかなか砕けずにキューっと熱で収縮するのに対し、短時間で作られた純氷はガリガリと砕けます。これも結晶の違いの表れだと言われています。

 今と昔では、保管方法や切り出しが機械化されたことが大きな違いです。
 昔はたくさんの人々に手伝ってもらい、皆でのこぎりを引いて氷の切り出しを行っていました。氷が割れないように、身体の重心移動をせずに、のこぎりを引くことは大変な作業だったと言います。
今では機械化が進みましたが、常に切り出しは品質や時期にこだわって行われています。

 天然氷の直面する今後の課題を伺いました。
それはまさに「気候」だと阿左美さんは言います。寒さに依存する天然氷づくりにとって、いい氷が張るためには今のような冬らしい気候が今後も続いてくれる必要があります。近年は温暖化が進み、連日寒さが続かない年には薄い氷しか取れないこともありました。その昔、寒さが厳しすぎて収穫後の作業が大変だった頃が懐かしいと言います。

 阿佐美冷蔵では、季節に応じて天然氷を楽しめるよう、四季折々の旬なメニューを提供しています。暑い夏は、桃などを使ったすっきりした果汁ベースのシロップ、秋・冬はさつまいもや栗、そして春には桜の塩漬けなど、季節ごとのかき氷を堪能できます。
 看板メニューの和三盆糖を使った「秀蜜」は、ほどよい甘さをお好みの餡と一緒に味わえます。冬は餡を添えて濃厚な味わいのかき氷のほか、甘味処としてあんみつや温かい飲み物も提供されています。季節によって氷のかき方も変えることで、時期にあった食感が味わえるのも、丁寧さやこだわりが感じられます。

阿佐美冷蔵
古民家と蔵を改修したお店では、繊細で上品な口当たりの天然氷かき氷が味わえます。金崎本店と寶登山道店があります。 https://asamireizou.blog.jp/

多彩な味わい、ふわふわの熊谷名物「雪くま」

 夏の気温が高いことで知られる埼玉県北部の熊谷市には、熊谷名物のかき氷「雪くま」があります。熊谷のおいしい水から作った貫目氷を、雪のようにふわふわの食感になるように削って作るため、口に入れると淡雪のようにふわっと溶けてゆきます。そのふわふわな氷に、お店独自のシロップをかけた雪くまは、味も見た目も楽しむことができます。
 定番のイチゴミルク、宇治抹茶小豆をはじめ、地元熊谷産の食材を使用したオリジナルシロップなど、様々なバリエーションのかき氷が楽しめます。

 「雪くま」のれん会会長の小林伸光さん、副会長の石川雄太さん、澤田真弘さんにお話を伺いました。
 雪くまを提供している店舗の集まり“雪くまのれん会”があります。昔からおいしいといわれている熊谷市の水を活かし、「夏の高い気温」を逆手にとって「暑い熊谷を、美味しいかき氷で涼しく過ごせるまちにしたい」と、市と有志店舗が協力して、かき氷をブランド化し、「雪くま」と名付け、2006年から販売したのが始まりと言います。

 当初11店舗からスタートした「雪くま」のれん会ですが、加盟するには熊谷のおいしい水を使った貫目氷の使用、氷の削り方に気を遣い雪のようなふんわりとした食感、オリジナルシロップや食材の使用という3つの条件を満たした店舗のみが加盟できます。これらの条件を満たした店舗が次々と加盟し、今では28店舗になりました。

 「雪くま」のれん会の活動として、例年6月には、新作の雪くまを披露する新作発表会を開催しています。会場には、新作の雪くまを楽しみにしてくれるたくさんのお客様がいらっしゃいます。

 「雪くまが暑いまち熊谷の名物としてさらに広がっていけたらとても嬉しいです。暑いからこそ雪くまを最大限に楽しめると思います。皆さんに暑さも体験してもらい、店舗を巡ってお気に入りの雪くまの味を見つけてほしいです。これからも「雪くま」のれん会で雪くまを盛り上げて、熊谷を活気づけて行きたいです。」とのことでした。

雪くまのガイドブックはこちら
https://www.oideyo-kumagaya.com/cate-gourmet/361/

「雪くま」を味わえるスポット

お茶の西田園

創業明治元年。玉露、煎茶、番茶をはじめとする各種様々な美味しいお茶と、かき氷を取り揃えています。「ほうじ茶あずき」をはじめ、様々な雪くまメニューがあります。

詳細はこちら
https://www.nishidaen.com/

三河屋

和菓子屋さんと洋菓子屋さんの両方を兼ね備えた、地元産にこだわった商品が揃います。様々なオリジナルソースをかけた雪くまが味わえます。

大福茶屋さわた

まるでおばあちゃんの家のようにくつろげる、古民家を改装した和喫茶では、名物のちーず大福をアレンジした「これがうわさのちーずの雪くま」をはじめ、贅沢な逸品が味わえます。

詳細はこちら
https://www.daifukuchaya.com/

地元産へのこだわり、小鹿野町の「毘沙門氷」

 埼玉の奥座敷、小鹿野町の白石山(別名・毘沙門山)麓から湧き出る名水「毘沙門水」(びしゃもんすい)は、「平成の名水百選」に選定され、カルシウム分とミネラル分豊富な自然水で、古くから地元の人々の喉を潤してきたといわれています。毘沙門様が見守る聖地より湧き出す水は絶えることなく、「神の水」とも呼ばれています。

小鹿野町にはこの「毘沙門水」を使ったかき氷である「毘沙門氷」があります。

 西秩父地域でしか味わえない「毘沙門氷」は、名水だけでなく、とことん地元産にこだわったかき氷です。地元で採れたフルーツのシロップを使用し、地元陶芸家の手による織部焼きの器で味わうことができるかき氷として2014年の夏に誕生しました。
イチゴ、ゆず、ブルーベリー、トマトのシロップのほか、各店オリジナルシロップをかけて味わうことができます。
 毘沙門氷は小鹿野町周辺の青いのぼりが目印の販売加盟店で味わえます。

「毘沙門氷」について、詳しくはこちら
https://www.bishamonkoori.com/

「毘沙門氷」を味わえるスポット

観音茶屋

定番のシロップの他に、オリジナルシロップも多数ご用意しています。

元六小鹿野町店

地元で採れたイチゴ、完熟ゆず、ブルーベリー、トマトのシロップをご堪能ください。

詳細はこちら
https://www.gen6ogano.jp/

動画でもぜひご覧ください。

※2022年8月現在の情報です。