“埼玉県産の和牛を広めたい”という想いを込めて誕生した「武州和牛(ぶしゅうわぎゅう)」は、
平成15年に商標登録された埼玉県の和牛ブランドです。
「武州」とは、埼玉県の古い呼び名のひとつ。
その名にふさわしい、全国に誇れる埼玉県の黒毛和牛です。
今回は、そんな「武州和牛」の魅力に迫ります!
牧場で切磋琢磨を続けて育てられた「武州和牛」は、柔らかい鮮紅色の赤肉の中に、きめ細やかな風味が漂うサシが入った霜降り牛肉です。柔らかい舌触りに上質な脂肪の香りが絶妙に溶け合い、まろやかさを醸し出します。また、噛めば噛むほど味を生むコクの深さが、牛肉本来の美味しさを堪能させてくれます。
今回は、その武州和牛の魅力について、武蔵浦和のイタリアンレストラン「トラットリア アズーリ」をはじめ、数々のレストランや事業を手掛ける株式会社ノースコーポレーションの新妻直也取締役総料理長にお話をお伺いしました。
「郷土愛を通じて、地域を作っていくことを大切にしている。」と語る新妻さんは、その「郷土愛」と「食」には欠かせない繋がりがあり、“地元で作られたものこそがこのうえない存在”と皆さんに実感して頂けるように、食材の選定やメニューの開発など様々な取り組みを行っています。
長年イタリア料理を手掛ける新妻さんにとって、“最高の味は、地元食材を使ったマンマの味”というイタリアの価値観が、いろいろな取り組みの根源にあると言います。
新妻さんは、これまで埼玉県内のたくさんの生産者の方々とお会いするなかで、レストランメニューのメインを飾る牛肉に着目してきました。
7~8年前に「埼玉県産の和牛を広めたい」という想いから、生産者の方々の共感を得て、まずは武州和牛を一頭仕入れることから活動をはじめました。決してすべての部位をレストランメニューに展開できるわけではありません。当時は武州和牛を販売する事業者もいませんでした。そのため、その活動自体が県内や国内に武州和牛を流通させるための取り組みとなり、周囲を巻き込んだプロジェクトの始まりとなりました。
徐々に埼玉県内の飲食店でも武州和牛が使われるようになり、「トラットリア アズーリ」では「武州和牛のボロネーゼ」が人気メニューのひとつになりました。“お肉の味がダイレクトに出てくる料理”に武州和牛はとても適していると新妻さんは言います。
新妻さんは、武州和牛の特徴は「赤身のおいしいさ。しっかりした味わい。」と言い切ります。最近では牛肉の指標と言えば、単にサシの入り具合などでランク付けされるものが知られていますが、その指標には重要な「味」のチェックがありません。武州和牛は赤身にしっかりと、“肉の味が乗る”、それは、肥育期間の長さや、餌、育て方の賜物だと言います。
レストランでは、新鮮な武州和牛の内臓肉を使用したメニュー「ランプレドット」もあります。「ランプレドット」はイタリアで広く親しまれているメニューであり、熊谷ラグビー場に隣接する「さくらオーバルフォート」のカフェレストランではパンに挟んで食べる「ランプレドット」が名物メニューとして提供されています。
株式会社ノースコーポレーション
http://north.co.jp
武州和牛はどのように育てられているのか?
深谷市にある尾熊牧場を訪ねました。この辺りでは数千頭の和牛が肥育されています。尾熊牧場では、子牛導入後、肥育期間は23カ月ほどと長期肥育をする事で、和牛の甘味と深い味わいを引き出し、味にばらつきのない黒毛和牛を育てています。
尾熊さんは、先代から受け継いだ長期肥育を続けるために、飼料にもこだわっていると言います。コストの掛かる乾式トウモロコシを配合した飼料を丁寧に給仕することで、飼料が胃の中でゆっくりと消化され、牛に優しいだけでなく、肉の深い味わいも引き出します。
特別な飼料と牛に丁寧に手間をかけることで長期肥育が実現し、全ての牛でばらつきのない安定した味を生み出すことができるそうです。
生産した和牛が格付けで高く評価されることは嬉しいことですが、それよりも消費者の皆さんに味わっていただいて、「おいしい」と言って貰えることが何より嬉しい。武州和牛を食べてもらうことで和牛本来のしっかりとした肉の味わいがきっと分かってもらえる、と言います。
現在、武州和牛は埼玉県北部を中心にそれぞれの牧場が切磋琢磨をして、高品質な武州和牛を育てあげています。最近では武州和牛を育てる組合員のいくつかの牧場で、子牛を生ませ飼育する新しい取り組みも始まっています。
手間と時間を惜しまずに育てた自慢の武州和牛をまずは県内の皆さんに味わってほしい、そして国内に広めていきたいという想いが感じられました。
埼玉県武州和牛組合は埼玉県県北エリアを中心に20軒ほどの農家で構成されていて、合計、約7,000頭の黒毛和牛を育てています。武州和牛を扱うレストランや焼肉店など多数ありますので、ぜひ埼玉県の誇る武州和牛を堪能してみてはいかがでしょうか?
埼玉県武州和牛組合
http://bushu-wagyu.jp
イタリア郷土料理を洗練された雰囲気で楽しめるトラットリアです。武州和牛や埼玉県産のイタリア野菜など埼玉の地産地消を豊富なワインと共に楽しめます。
武州和牛と、秩父の大地で育ったオーガニック野菜、旬の食材で織りなすイタリアの郷土料理を秩父の食材で再構築されたメニューの数々を楽しめます。
詳細はこちら
https://salvagest.jp/
※2022年3月現在の情報です。