工房を継いで15年余り。これまでろくろ挽きの錫製品は、カチッとした力強いフォルムのものが主流でした。昭和40年代頃は多くの需要がありましたが、現在は錫製品を知らない方も増えてきています。そこで幅広い方に錫の魅力をアピールしたいと思い、「『花ことば』平盃 四季」の製作に挑戦しました。これまでにない丸みを帯びた柔らかいフォルムに加え、四季の花を表現した優しい色合い。錫製品に多く見られる黒や弁柄（暗い黄みの赤）のような強い色から、ニュアンスのある色を使ったことが新たな試みです。

　醸造所のある東松山市では約60年前から和梨が栽培されており、観光のひとつとして定着してきました。醸造所のある地域で採れた和梨を使用することで、埼玉県の魅力や新しいビール文化をより多くの方に知っていただければと考えています。
　「夏果」は、みずみずしく上品な甘さの埼玉県品種「彩玉」とオーツ麦を使い、優しい甘味とまろやかさが調和したフルーツエールに仕上がりました。ブルワーがレシピや和梨の特徴を研究した努力が実った賞だと感じています。これからも“Beer Beautiful”をコンセプトに日本人の職人たちの細やかなものづくりとビール本来の豊かな味わいを、武蔵野の農業の魅力とともに国内外に発信していきます。